研究活動

OCT (Optical Coherence Tomography):光干渉断層法

当施設では経皮的冠動脈形成術 (PCI) の治療戦略に血管内エコー(IVUS)を主に使用している。
IVUSは超音波の到達距離がある程度保たれるため、冠動脈壁構造を含めた全体像(血管リモデリングの評価や内径・外径の評価)や分枝の情報などを得るには優れている反面、分解能が低いために血管壁の組織性状などの詳細な質的診断には不向きな点がある。
最近、超音波を用いた血管内エコー(IVUS)と同様に近赤外線を用いて冠動脈を観察するOCT(optical coherence tomography)が開発され、臨床応用が可能となってきている。
OCTの魅力は何よりも約10μmという高画像分解能にあり、この分解能はIVUSの10倍にも達している。
OCTにて冠動脈を観察すると、従来みることができなかった、内膜・中膜・外膜の3層像を観察できるだけでなく、プラークの性状、線維性被膜の径、プラークの内容などまで同定できるようになってきている。
当科では、このOCTを用いることにより、さらに詳細に、血管・プラークを観察することにより、ひとりひとりの患者さんにとって最良の治療を行うことを目指している。

図1 当科で使用しているOCTシステム
OCT 光干渉断層法 研究活動

図2 冠動脈の正常像 A.OCT, B.IVUS, C.病理像(H-E染色)
OCT 光干渉断層法 研究活動

図3 69才、男性 不安定狭心症の症例
OCT 光干渉断層法 研究活動
10μmの高画像分解能より得られたプラーク破裂部位の写真。
IVUSより詳細な解析が可能となり、この症例では線維性被膜まで描出できているのがわかる。治療法の選択に役立つのはいうまでもなく、さらには冠動脈疾患の発症を予知・予防を試みようと当科でも臨床研究を重ねている。

FFR (Fractional Flow Reserve) : 心筋血流予備量比

 虚血性心疾患(急性心筋梗塞・狭心症)とは冠動脈の閉塞や狭窄によって心筋が血流不足(酸素不足)に陥ることで生じる病気である。そのため診断には疾患の原因となる冠動脈を観察する冠動脈造影検査が一般的な検査法として用いられる。

 冠動脈造影検査では冠動脈狭窄の程度から冠血流障害の程度を推定して虚血性心疾患の重症度を判定する。冠動脈造影検査は病変の形態を評価する検査であり形態学的診断法に分類される。しかし狭窄の程度が中等度の場合に狭窄が心筋にとって有害となる冠血流障害を来すか否かを冠動脈造影検査のみで判定することは難しい。さらには軽度に見える狭窄が冠血流障害を起こす場合や、反対に高度に見える狭窄が冠血流障害を起こさない場合もある。虚血性心疾患は冠動脈に病変が存在するということのみでは成立せず、冠動脈病変よる冠血流障害が証明されて初めて成立する。そのため形態学的診断法である冠動脈造影のみでそれを診断することには自ずと限界がある。

 心筋血流予備量比(FFR)は冠動脈病変の重症度を血行動態的に判定する機能的診断法である。FFRは圧センサー付きガイドワイヤーで冠動脈内圧を測定し、狭窄の遠位部圧と近位部圧の比で算出できる ()FFRの値が一定の値よりも低下した場合に冠血流障害をきたす病変と判定する。FFRは冠血流障害の程度を直接的に評価する検査法であり、虚血性心疾患の診断において冠動脈造影検査よりも客観性に優れている。冠動脈カテーテルインターベンションなどの冠血行再建療法を行なう際に、冠動脈造影検査にFFRを併用することで治療成績が向上すると報告されている。当施設では日常臨床で積極的にFFRを用いるとともに、それに関連する臨床研究を実施している。

図 FFRの実際 FFRが0.75未満の場合に有意狭窄と判定する 
FFR 研究活動

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