ご挨拶

医療従事者の方々へ

医科大学や大学医学部には常に臨床・研究・教育の重要性が求められます。
医学部卒業生の95%以上が最終的には何らかの形で臨床に携わるといわれている現在、臨床教室の果たすべき役割は、臨床そのものを研究し、臨床に役立つ研究をし、臨床を教育することであると考えております。
「臨床=日常診療行為をすること」ではなく、常に自らの診断・治療成績を客観的に評価し、理想的な新しい検査法や治療法を求めて日常臨床に反映するように努力することが大学を含む基幹病院に求められる臨床であると考えております。
近年の循環器領域の診断・治療・研究の発展はめまぐるしく、種々のエビデンスがそれらの進歩に追いついていかない状態です。
時にはエビデンスの十分でない治療を日常臨床で積極的に導入せざるを得ない現状で、しかも数ヵ月後にはその治療が否定される可能性もあり、臨床における我々の責任はますます大きくなっております。

大学病院では、一般的な治療法においては他の医療機関よりも優れた成績であるのは当然であり、さらに高度先進医療を積極的に担い、「明日の診療」を世間に示すことができる臨床でなければならないと考えております。
そのためには、医局や大学単独だけではなく、広く県下や国内外の医療機関とも連携した多施設共同研究などを行える大きな医療チームの構築も求められるものと考えます。
現在、国内の多施設共同研究や欧米の医療施設・医療企業との共同研究を行っております。
一方、少数しかその道を歩まないからこそ研究者の育成も大切であります。日常臨床における問題がすべて臨床研究だけで解決できるわけではなく、臨床で解決できない問題に関する真理の探求やそのための基礎研究は医学の進歩・発展には欠くことのできない重要事項です。
臨床の疑問を解決し、成果が臨床に反映される研究は積極的に推進すべきであります。
そのためには、医局内の臨床・研究チームだけでなく大学内の基礎医学教室や関連の臨床教室、他学部・他大学との協力関係・相互乗り入れが必要不可欠であります。
当科では臨床と基礎部門が「動脈硬化」という共通のテーマで共同研究を推進しております。

教育に関しては、従来の大学での臨床教育は十分ではなく、卒後研修システムの大きな変革がなされたところです。私は23年前に既に今回と同様のシステムで2年間の前期研修・3年間の後期専門研修を受けております。
すなわち大学は23年遅れで現在の研修システムに入ったということです。
確かに、今回のシステムには問題点も種々指摘されておりますが、単にシステムの変革に不平不満を言うばかりではなく、本来、理想的に機能しさえすれば、臨床各科がそろっていて基礎医学教室とも容易に交流のもてる大学病院ほど理想的な研修病院はないということを大学人は理解すべきであり、どのように運営すればその良さが発揮できるかを前向きに考えるべきです。
臨床教育とは単に日常臨床を遂行する手技や手段を教えるのではなく、臨床を科学する力を磨き、研究を推進する能力を養い、医療を大きく展開し、教育する力を育む全人教育であると考えております。
スーパーマンの発掘・教育も大切であるが、個々人の能力を生かしたチームワーク教育も重要であり、10人のスタッフが単に10の力を出すのではなく15や20の力を出せるようなチーム作りの大切さを教育することも重要であり、コメディカル・医療スタッフを含めて循環器内科教室がそのようなチームとなり、教室員がそのチームのリーダーとなることを願っております。
また、本教室を参考にして本学卒業生が医療の本質を学んでくれることを望んでおります。
要は、自分が病気になったとき、単なる技術だけでなく、安心して治療を任せることのできる後輩たちを育てることが責務であると考えております。
医療を取り巻く環境の変化はめまぐるしく、望まざる変革もあるかもしれませんが、彼のダーウィンは「もっとも強いものが生き残るのではなく、もっとも環境に適したものが生き延びる」と適者生存を述べております。
この変革の時代をチャンスととらえ、本学がその存在価値を世に示すことができれば幸いであり、循環器内科教室がその重責を担い、大学や県下・国内だけでなく世界のリーダーとなることを望んでおります。
皆様の御理解と御支援をお願い申し上げます。

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