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女性医療人支援フォーラム3は、畑埜義雄先生(和歌山県立医科大学附属病院長 女性医療人支援センター長)の司会によって進行し、3人の演者による講演が行われました。
講演1 |
「女性医療職支援・島根大学医学部の取組」 内田伸恵 先生(島根大学医学部放射線医学講座がん放射線治療教育学 教授、女性スタッフ支援室 副室長) |
講演2 |
「意識改革が働きやすい職場をつくる 旭川医科大学での取組」 山本明美 先生(旭川医科大学皮膚科学講座 准教授、復職・子育て・介護支援センター 副センター長) |
講演3 |
「資生堂におけるワークライフバランスへの取組」 宇野晶子 先生(株式会社資生堂 お客さま・社会リレーション部 次長) |
司会 畑埜義雄 先生
(和歌山県立医科大学附属病院長 麻酔科教授、
女性医療人支援センター長)
和歌山県立医科大学の「女性医師の出産育児休業からの職場復帰支援」は、文部科学省の「医療人GP」に選定されて3年目を迎えた。ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の視点に立って女性医療人をサポートしていくこの取り組みは、疲弊する医療界だけでなく、日本の社会全体を豊かに、元気にすることを確信している。
フォーラム第3回の今回は、2つの医大での女性医療人支援の取り組みに加え、女性支援で先駆的な取り組みを続けている企業・資生堂より講師をお招きした。企業という別の視点が加わることで、また新たな角度からこの問題に関心を寄せていただけるのではないかと期待している。
島根大学医学部は「新しいキャリア継続モデル事業―しなやかな女性医療職をめざして―」が平成19年度「医療人GP」に選定され、女性スタッフ支援室を中心に5つの柱で事業を進めてきた。
1)キャリア・啓発活動では、学生と全職員を対象にアンケート調査や講演会開催などを通じ、男性の育児参加をロールモデルとして提示するなど、意識改革に努めている。
2)相談窓口事業では、外部カウンセラーと学内の全職種からのメンターを組織して、医学部の全女性教職員と女子学生を対象に、相談を受けつけ、好評である。
3)育児支援は院内保育所「うさぎ保育所」に加え、病児・病後児保育室「ニコニコうさぎ」を整備した。保育所に預けた子どもの小児科受診の際は付き添い代行受診ができるようにしたり、学会や研究会参加の際の託児支援制度も設けたりして、育児支援の拡充を進めている。
4)スキルアップ支援・復帰支援では、離職した看護師のオンライン学習システム、研修費の参加費・交通費補助、看護師の短時間常勤雇用などを導入した。
5)在宅就労支援としては、遠隔画像診断によるテレワークシステムを構築し、育児休業中の医師が放射線画像や病理スライド診断などの業務ができるようにした。
休業・離職中の女性が、その資格や専門性を活かす形で復職できるようにすることは、病院の待ち時間を減らすなど、サービス向上にもつながっている。また、女性の学習・研究の機会を増やすことは、女性のキャリアアップにもつながる。今後はこのムーブメントを学内から地域に広げて、県内の医師・看護師の不足傾向に歯止めをかけ、地域医療の充実をめざしていきたい。
平成19年度「医療人GP」に選定された「育児と介護をささえるオールホスピタル計画―5段階教育プログラム」、別名「二輪草プラン」は「復職・子育て・介護支援センター」を中心に進めてきた。この2年の活動のなかで、どんなイベントや小さな取り組みでも、できることからやっていけば、職場全体の意識が変わり、よい方向に動き出すということを実感している。
平成20年から始めた休職者の「人材登録システム」では、旭川医大同窓会の協力で3,000人にアンケート調査を行い、医師6名、看護師18名を潜在人材として登録し、医師1名、看護師2名の復職を実現した。短時間勤務制度として整備した「二輪草枠医員制度」は、その対象をいったん離職した人にまで広げ、勤務形態も選べるようにしたところ、利用者が増えた。また、実際に短時間勤務の女性医師らの優秀な仕事ぶりをみて、「中途半端な働き方はありがた迷惑」と言っていた男性幹部の意識変革にもなった。学童保育は希望があってもできないため、夏休み、冬休みの各3日間の「キッズスクール」に取り組んだ。これには学生ボランティアが多数参加してくれているほか、栄養士や医師が講師役を買ってでるなど、医大らしい楽しい企画で注目されている。なにより、子育てをみんなでサポートする意識が芽生えたことが収穫だと思う。
女性が働きやすい職場づくりを通じて、実際に、看護師不足が解消され、念願の7対1看護を実現できた。旭川医科大学に残りたいという女子学生が増え、卒後臨床研修率が上がるという成果も現れ始めた。誰も取り組んでこなかった活動にチャレンジできることは、私たち自身にとっても大きな喜びとなっている。
創業137年の資生堂は、創業期から女性が経営に加わったことや、化粧品という製品の特徴から、積極的な女性社員登用の伝統がある。現在も、ワークライフバランスを図ることは、女性社員の教育コストの削減という効率面だけでなく、新しい価値観を商品開発や販売戦略に投入するうえで不可欠という考えで、全社員の共通課題として取り組んでいる。
1990年に育児休業制度が導入され、私はその取得第1号だったが、当時は制度はできても上司の理解がないなど、利用する人が少ないのが実情だった。その後、2000年の「ポジティブアクション」、2005年の「男女共同参画アクションプラン20」、2007年の「同アクションプラン15」と活動を重ねてきた。復職支援、育児支援としてはe-ラーニングのスキルアップ講座システムを導入、子育て期の社員を対象とした事業所内保育所の整備、転勤免除などに取り組んできた。育児時間については、お子さんが小学校3年まで取得できるように期間を延長し、また、育児時間中の仕事を補う「カンガルースタッフ」制度を導入し、利用者を増やしている。これらの支援策は、子育てにやさしい企業という社内風土を醸成するとともに、先駆的に取り組むことで企業のイメージアップにつながるという成果もある。
課題としては、女性社員が8割を占める当社でも女性リーダーの割合は2割弱と少なく、とりわけ地方事業所には女性リーダーが少ないことがあげられる。海外事業所では約半数が女性リーダーという状況と比べると、日本はまだまだ遅れているというのが現状で、現在は女性リーダー3割を目標にしている。しかし、若い社員のなかには、管理職は忙しいからなりたくないという人もおり、女性管理職には、優秀な後輩をどう育成するかという新たな悩みもある。男女共同参画の実現のためには、従来の働き方のまま男女共同参画するのではなく、どういう働き方が望ましいかを意識しながら新たなステージに移行する時期に来ていると感じている。