手術(麻酔後)
心臓病や高血圧、肺疾患、喘息などの持病がなく、生来お元気な方でも全身麻酔をかけることで、以下のような合併症を起こす危険性があります。
1) | 歯が抜ける・グラグラになる: 気管の中に管を入れる操作や麻酔からさめるときに歯をくいしばることで、歯がぐらついたり抜けたりすることがあります。特にグラグラしている歯や差し歯などでは、起きやすくなります。 |
2) | 咽頭痛、かすれ声: 気管に管をいれるため、術後のどが痛くなったり、声がかれることがあります。普通2、3日で自然になおります。 |
3) | 肺炎: 気管に管をいれる操作の時に嘔吐をすると、吐物が気管の中にはいり肺炎になる危険性があります。これを予防するために、手術の当日は早朝からいっさいの飲食物を口にせず、胃の中を空っぽにしておきます。また、気管の管や麻酔ガスの刺激で術後に痰が増えることがあります。そのため痰詰まりから肺炎を引き起こすことがあります。この予防には術前では2週間前からの禁煙、術後では痰を我慢せずに出すこと、深呼吸をすること、じっと寝ていないで体をできるだけ動かすことなどが有効です。風邪は軽いものでも肺炎をひきおこす危険性が高まります。風邪をひいてしまったときには、手術をしないことの危険性とすることの危険性を検討して、手術当日でも手術を中止・延期にさせていただくことがあります。 |
4) | 悪性高熱症: 全身麻酔中に原因不明の高熱を出す疾患です。もっとも危険性の高い全身麻酔中の合併症のひとつで、発生率は全身麻酔6万例に1例くらいと報告されています。しかしひとたび発生した場合の死亡率は、1992年の統計では18%といわれています。発病の原因は不明で、予測不可能な場合もありますが、遺伝的要素や引き金となる要素がいくつか考えられています。ご家族、ご親戚で麻酔中に異常を指摘されたことのある方は、術前にお申し出ください。 |
5) | アレルギー: すべての薬は体にとって異物です。そのため薬を投与したときアレルギー反応が起きることがあります。以前使った薬でなにか反応のあった方は、お申し出ください。 |
1) | 麻酔が効かない・麻酔がきれてくる: 手術に必要な範囲まで麻酔が効かなかったり、手術が予想より長引き麻酔がきれてくることがあります。この場合には、全身麻酔に変更になることがあります。 |
2) | 頭痛: 手術の翌日頃から頑固な頭痛が出ることがあります。ひどいときには一週間くらい続き、入院期問が予定より延びることもあります。ふつう後遺症はなく自然になおります。手術が終わってすぐに起きあがったり歩き回ったりすると起こりやすいので、手術当日は術後ベッド上で安静にした方がよいでしょう。 |
3) | 尿がでない: 手術終了後麻酔が切れてから尿意を感じても尿が出ず、尿道に管をいれて尿を排泄させなければならないことがあります。ふつう一度か二度の処置で白然になおります。 |
4) | 神経麻痺脊椎麻酔は通常、数時間で効果がなくなります。しかし、脊髄に近いところに注射をしたり薬を注入するので、神経麻痺を起こすことがありますが、頻度は非常に低いものです。 |