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下肢静脈瘤の治療

下肢静脈瘤とは?

静脈とは血液が心臓に戻る時に通る血管を言います。とりわけ下肢の静脈は心臓から一番遠くまた重力に逆らって戻らなくてはなりませんから大変な負担がかかります。その負担を軽くするために下肢の静脈には逆流を防止する弁がついています。この弁の働きにより通常血液は心臓にもどる方向にしか流れないようになっていますがこの弁が壊れると逆流が起こり足の静脈がこぶのように膨らみ、蛇行してしまいます。これを下肢静脈瘤と言います。

下肢静脈瘤の症状は?

特徴的な症状としては、足がむくむ、だるい、おもい、痛む、ほてるなどで立ち仕事など足に負担のかかる仕事をしている人に症状が強くでる傾向があります。また足の筋肉がつる、いわゆるこむら返りも起きる人がおおく、なぜだか解りませんが就寝時、特に朝方によく起こると言われています。その他には静脈瘤が進むと足の皮膚が黒く硬くなる色素沈着が起こったり潰瘍を形成するようになります。

静脈瘤のできやすい人は?

静脈瘤はわが国では成人の10〜50%に見られるとされています。静脈瘤のできやすい条件いわゆる危険因子としては下記のものがあります。

性別 女性に多い
年齢 年齢とともに頻度は増加する
遺伝 親や姉妹に静脈瘤のある人に起こりやすい
妊娠分娩
妊娠分娩をきっかけにできやすい
仕事 立ち仕事に従事されている人(美容師、店員、農家の方)に起こりやすく、また進行しやすい

下肢静脈瘤の治療は?

  1. 保存療法(圧迫療法)
    硬めのストッキングいわゆる弾性ストッキングを着用し圧迫する事で静脈に血液を逆流、貯留させないようにします。一時的に症状は改善しますがストッキングを脱ぐと当然また症状が現れます。
  2. 硬化療法
    これは静脈瘤に硬化剤と言われるいわゆる接着剤のような物を注入し静脈をくっつけてしまう方法です。簡単に行えますが時間とともに接着剤がはがれもとどうりになってしまう事があります。
  3. 高位結紮術
    これは逆流のおこっている血管の根元の所をしばって逆流を起こさせないようにする手術です。日帰りで簡単に行える手術で一時的に症状はよくなりますが、静脈瘤は通常クモの巣のように血管がたくさん入り組んだようになっているためそれだけで完全になおってしまうことは残念ながらありません。
  4. ストリッピング手術
    これはいわゆる逆流のおこっている静脈を足の付け根から足首の所まで血管をいわゆる引っこ抜く手術です。静脈瘤の手術としては一番確実に行える治療です。多くは全身麻酔や下半身麻酔で行われます。ただし血管を引っこ抜く際に神経もいっしょに抜いてしまう事があり術後しびれ等の症状が残る事があります。また小さな血管がちぎれてしまうため内出血が起き1〜2週間の入院を必要とする事があります。

当科での治療は患者さまとの相談の上決定いたします。症状の軽い人にはストッキングによる保存的治療をお勧めしますが、基本的に静脈瘤は静脈弁が壊れているわけですから病状は日をおって悪化します。手術的にはストリッピングが再発も少なく一番の治療法なのですが、全身麻酔、もしくは腰椎麻酔を必要とする事また内出血のため長期入院が必要になる事、また神経損傷によるシビレが残る可能性がある等、問題点が多い手術です。そこで当科では新しく局所麻酔によるストリッピング手術を行っています。それは、数カ所の傷より神経を温存しながら分節的に静脈を抜き抜く方法で局所麻酔ですので麻酔をする時に少し痛みはありますが出血も少なく神経損傷もありません。また入院も一泊で可能です。その他の硬化療法や高位結紮療法も症例に応じ行っていますのでお気軽に御相談ください。

手術前
手術前
手術後
手術後