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平成28年度卒業式 式辞

卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。
また、ご出席いただきましたご家族の皆様には、これまでの暖かいご支援に敬意を表すとともに、今日の日を迎えらえたことを心よりお祝い申し上げます。
そして、本日、ご多忙にもかかわらずご臨席を賜りましたご来賓の皆様には、卒業生の門出をお祝いしていただけることに心よりお礼申し上げます。

皆さんは、本学での学生生活だけでなく、小中高の12年間を合わせると16年以上の学生生活を送ったことになります。いよいよ明日からはこの学生生活に別れを告げるわけです。医師、看護師、助産師という国家資格を手にして、皆さんが本学入学時に抱いていた、困っている患者さんを救うという初心をいよいよ達成できるのです。皆さんの多くは在学中に成人式を迎えたと思いますが、明日からは社会人として文字通り独り立ちしていくことになります。自らの意志で行動し、これまで自分を育ててくれた社会に恩返しをするよう心がけてください。

皆さんが、学生生活を送った4年ないし6年の間に、本学では、附属病院東棟の完成や臨床系の二つの講座の開設、臨床研究センターの設立、海外の多くの大学との新たな国際交流の締結などの発展がありました。

また、一昨年には本学の創立70周年を祝いました。これまで4000名以上の医師と、1000名以上の看護師・助産師を輩出してきましたが、平成33年には薬学部の新設が決定しています。15年前までは、本学の学生総数は400名程度だったのが、これから10年後には、1500名以上になり、医療系の総合大学としての役割を担うことになります。皆さんの先輩が築いてきた和歌山県立医科大学の伝統を引き継ぎ、グローバルな視野を持ちながら良き社会人として、社会に貢献していく人材になってくれることを願っています。

さて、皆さんは、2025年問題という言葉を何度も耳にしていると思います。実は、医科系大学に関しては、2021年問題と2023年問題というのもあるのですが、3つとも答えられる人はいるでしょうか?
多くの人が知っていると思われる2025年問題から話しましょう。少子高齢化が問題になっていますが、我が国は諸外国の先陣を切って高齢化社会を迎えたために、先例がなく自分たちで解決していかなければなりません。2025年は、団塊の世代が75歳すなわち後期高齢者になる年です。医療や介護など社会保障費が急増し、認知症患者が700万人を突破するといわれています。しかもそれを支える生産世代が少ないということですが、2025年と言えばあなた方は30歳を過ぎたころですから、支える側になります。
2021年問題というのは、大学入試が変わる年です。現在行われているセンター試験はなくなり、大学入学希望者学力評価テストというのに変わります。これまでの記憶力中心ではなく、思考力、判断力、表現力を重視した試験に代わります。
2023年問題というのは、医学教育の国際標準化の波のことです。
国際化社会を迎えて、世界標準にのっとった医学教育、具体的には学生の間に診療能力を身に着けることが要求されています。あなた方の後輩たちがそのような教育を受けて大学を卒業してくるわけです。その頃には、現在の医師や看護師不足は解消していることも予想されるので、卒業後、努力しない人にとっては厳しい時代になるということです。

皆さんが就く職業はいずれも師という漢字が付きます。人に何かを教えるという意味の師です。患者さんからは一般には先生と呼ばれることが多いですが、時には、自分が先生と呼ばれるに値するかを考えてください。

さらに言えば、教科書や学会、上司や先輩から学ぶ知識と同等かそれ以上に一人一人の患者さんから学ぶことが多い、つまり、患者さんこそが先生だということをわかってほしいと思います。

先ほども述べましたが、社会の変化はより急速になっているので、今後10年20年でどのように変化するかは誰にも予想がつきません。しっかりとした目標を持ちながら、社会の変化に適応していく柔軟性が要求されます。先ほど、学生生活に別れを告げるという話をしましたが、学ぶことを終わりにするということではありません。国家資格を得て、社会に出てからも常に新しいことや知らないことを学び、技術を磨き、生涯学習していくという姿勢を持ち続けてください。

本学の心のルーツは華岡青洲にあります。青洲先生はいろいろな心構えを説かれています。名声を求めるのでなく、自己犠牲を伴った地道な地域医療に貢献しながら、後進を育て、世界的な業績を残された偉大な先達の生き方を常に意識して、活躍してください。

最後になりましたが、本日ご出席してくださったご来賓の皆様、ご家族の皆様のますますのご健勝とご多幸をお祈り申し上げますとともに、今後も引き続き、卒業生をご指導ご支援賜りますようお願い申し上げます。

平成29年3月21日
公立大学法人 和歌山県立医科大学
学長 岡村吉隆