教員からのメッセージ

研究室から見える風景 〜桜と西行と教養セミナー〜

<和歌山県立医科大学 保健看護学部 講師 辻 あさみ>

写真:研究室から見える風景


上の写真は今年の4月に研究室から見えた風景です。ちょうど桜が満開で、桜の下には学校のテニスコートが見えます。私の研究室は今年の4月に出来上がったばかりの研究棟の4階にあり、引っ越しと同時に部屋からこんな綺麗な桜を見ることができました。さらに南方へ目をやると、紀三井寺がある名草山に見事に山桜が咲いていました。(右の写真)その下には我が校の広い運動場があり、山桜のピンク色と運動場の緑と、木々の緑が見事に調和しています。保健看護学部はこんな長閑な風景の中にあります。

さて、保健看護学部のカリキュラムの特色のひとつに教養セミナーがあります。この授業は、何か知識を得るための授業ではなく、何人かのグループに分かれ、一つのテーマについてみんなで話し合いながら、学生自身で勉学の仕方を学ぶ授業です。今年は3枚の花の写真の中からテーマを選ぶことになり、私の担当しているグループは"桜"をテーマに選びました。

まず桜から連想するものは何か考えました。桜ってどうしてお城の周りに多いの?花見はいつから?桜に対するイメージは誰でも一緒?住んでいる町によってイメージは違う?どうして桜の短歌は多いの?という具合に、話がどんどん広がっていきました。その中で、桜の歌を沢山詠っていると云われている西行法師について話し合うことになりました。どうして花の種類は沢山あるのに、西行は"桜"に心惹かれるのか。なぜ、西行は桜を題材にした歌を多く詠っているのか。それには、桜の"花"に惹かれるというよりも、"桜が散ること"に惹かれる日本人の心と関係していることが、西行法師について書かれた本から知ることができました。

その本には、"桜の花が散る"ことには、明るさと悲しさが融合しており、"桜の花が散る"ことに心が惹かれるのは、日本人の感性・心性に根付くものがあるとありました。このことの意味についてみんなで話し合いました。"桜が散る"姿は寂しさや悲しい感じがするけれども、なぜか"散ること"に美しさを感じます。このことは、悲しいことを隠し平静を装っているけれども、そのもの悲しさを漂わせている姿になぜか惹かれることと似ているような気がしました。日本人は元来、辛さや悲しさを表に出さないことを美徳と感じるといわれています。"桜が散る"ことに惹かれるのは、そんな日本人の心のあり方が影響しているのではないかと考えられました。

このように 教養セミナーを通して"桜"から日本人の心のあり方を学んだり、他にも桜について様々なことをみんなで話し合うことで、今まで何気なく見ていた桜について、深く知ることができたり、考えることができました。

教養セミナーは、自分達で話し合いながら考えを深めていくことで、学ぶ姿勢や学ぶことの楽しさを知り学習意欲を高めることが目標です。今後、この教養セミナーで学んだことが、学生にとって人間味あふれる豊かな人間性や幅広い視野を持つための土台となり、将来立派な社会人になる礎になることを祈っています。

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